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知っておきたい店情報

「1人でも気軽に楽しめる」 小鍋パエリアを打ち出し、繁盛店に

スペイン食堂 ラ・ガジェガ(スペイン料理店、京都・三条)

2011年11月4日
スペイン食堂 ラ・ガジェガ(スペイン料理店、京都・三条)

個性豊かな小鍋パエリアが常時10種類以上。小鍋で提供することで、「気軽に1人のランチで」「複数でいろんな種類をちょっとずつ」など、楽しみ方が増えた。3カ月ごとに季節限定パエリアも登場。手前から左回りに「海の幸のパエリア」「秋鮭と生ハムのパエリア」「イカスミのパエリア」「イワシとトマトのパエリア」「野菜のパエリア」

「複数人で、大鍋から取り分けて食べる」というパエリアの概念を覆す「直径22cmの1人用の小鍋パエリア」が、京都の「ラ・ガジェガ」で人気を呼んでいる。社長の木下清孝さんは京都でスペイン料理店を4店舗展開。同店は3店舗目だが、2008年のオープン時には小鍋パエリアはやっておらず、ガリシア地方の料理がメインだった。だが「ガリシアの知名度が低いこともあり、売り上げは安定しなかった」(木下さん)。

転機は2010年7月、スタッフとともにパエリア発祥の地バレンシアに行き、現地のレストランで研修した。「本場のパエリアの作り方や味の違いにショックを受けた。以来、作り方をガラッと変えた」(木下さん)。それまで同店のパエリアは、自家製ブイヨンをベースにしており、その味が強かった。それを、水で煮込むことで素材の風味がはっきりしたパエリアに生まれ変わらせた。

また、「バレンシアのように、日本でももっと気軽に楽しんでもらいたい」と、小鍋パエリアを全4店舗で導入。前菜やスープが付いたお得な「パエリアランチ」も始めた。その結果、1人客や女性客が増え、1日20 ~30人だった客は130人に。手応えを感じた木下さんは今年2月、「ラ・ガジェガ」をほぼパエリア専門店と位置付け、小鍋パエリアを10種類以上に増やしてリニューアルオープン。来年、さらに20種類を揃えたパエリア専門店もオープン予定だ。

大粒で、炊き込んでも芯が残るパエリア専用米の栽培も始めた。熱源もオーブンから、鍋での直火炊きに変えた。「オーブンは時間がかかる上に米が炊き上がってしまう。パスタと同じで、米も若干芯が残るほうが日本人の舌に合う」からだ。大量の注文にも迅速に対応できるよう、一度に10皿焼けるパエリア専用ガス台も開発中だ。

温かみのある手作りの内装

スペイン食堂 ラ・ガジェガ(スペイン料理店、京都・三条)

左:リニューアルオープンに合わせて、内装をスタッフたちが作り替えた。壁に漆喰を塗り、スペインタイルを貼り付けて明るい雰囲気に
中央:パエリアの素晴らしさを知ってもらおうと造られた「幸せの黄色いパエリアバス」。第1弾として、10月には木下さん(右から2人目)とスタッフたちが岩手県釜石市の仮設住宅に行き、300人分のパエリアを焼いてきた。今後も様々なイベントのため出張を予定
右:スープ、パン、前菜が付いた「パエリアランチ」(1500円)

MAP

店舗DATA

京都市東山区川端通三条下ル 東側 KYOUEN内TEL:075-533-7206●2008年2月開業●店舗面積/60坪(165m2)●席数/36席●営業時間/11:00~23:00、月休●客単価/2500円●1日の来客数/130人●原価率/30%●月商/700万~750万円●スタッフ数/10人●経営/Bajarbol(バハルボール)

(文=羽野羊子、写真=水野浩志)