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知っておきたい店情報

均一価格を守り続けて39年 「変わらない」安心感でお客を魅了

「炉ばた焼 漁いさりび火」(居酒屋、大阪・梅田)

2012年8月31日
「炉ばた焼 漁いさりび火」(居酒屋、大阪・梅田)

ドリンクもフードもすべて300円(税込315円)

39年にわたって均一価格を貫き、繁盛しているのが「漁火」だ。「活ホタテ貝のバター焼き」「活サザエの壺焼き」など、市場で毎日仕入れる活きのいい魚介を使った料理が全て300円。2つある大きなカウンターは、目の前の焼き場を眺められる人気席だ。不況で懐具合が厳しいサラリーマンを中心に人気を集めている。「オープンした1973年頃は均一価格が流行していて、ウチのような店が多かった」と、「漁火」を経営する力丸グループの中川浩孝社長は語る。

だが80年代のバブル期には、客単価を上げるため均一価格を廃止する店が続出した。お客も料亭などの高級店に流れ、オープン時から伸び続けていた売り上げが横バイに。物価上昇に伴って仕入値も上がり、30%以下だった原価率が40%近くにまで上昇した。それでも均一価格をやめず、値上げもしなかったのは、大衆的な雰囲気を守りたかったからだ。「上司が部下を連れてきて『何でも好きなもん食べや』と言える安心感を壊したくなかった」(中川社長)。

お客を呼び戻す工夫もした。ちょっと飲んで20時頃に帰ってしまうお客が多かったため、21時以降のお客を増やそうと、毎晩22時にビンゴゲームを始めた。1~3等のお客に、その日の食事券をプレゼントしている(1等3000円、2等2000円、3等1000円)。その日の料金が値引きされるのでお客からは好評だ。

やがてバブルの崩壊とともに仕入値も下がり、粗利率も回復。均一価格の安心感だけでなく「いつ行っても変わらない雰囲気」という安心感も加わり、市内に9店の炉ばた焼き店を展開するまでに成長した。毎朝、市場で9店分の食材を仕入れ、セントラルキッチンで保管。そこから各店に配送することでコストを抑えている。

「目の前で食材が焼き上がる」大カウンターが特等席

「炉ばた焼 漁いさりび火」(居酒屋、大阪・梅田)

店の中心は、焼き場をぐるっと囲んだ2つの大カウンター。新鮮な食材が目の前で焼かれるライブ感が人気で、ここに座りたがるお客が多い

「炉ばた焼 漁いさりび火」(居酒屋、大阪・梅田)

右:30年前から続いているビンゴゲーム。その日の食事券が当たった人は気分が良くなり、「もうちょっと飲んで行こうや」となることが多い。左、中央:知らなければ通り過ぎてしまいそうな地下1階の入口。だが、開店すると瞬く間にウエイティング客が並ぶ

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店舗データ

大阪市北区芝田1-5-12 TEL:06-6373-2969●開業/1973年7月●店舗面積/60坪(198m2)●席数/85席●営業時間/平日17:00~ 23:15(土日祝は16:30~)●月商/1400万円●客単価/2700円●1日の来店客数/185人●原価率/30~32%●スタッフ数/7~8人●経営/力丸グループ

(文、写真=羽野羊子)