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知っておきたい店情報

「養殖魚」のイメージを刷新 クロマグロの刺盛りに連日行列

近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所(鮮魚料理店、大阪・梅田)

2013年10月4日
近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所(鮮魚料理店、大阪・梅田)

近大で養殖した様々な魚の刺身を楽しめる「本マグロと選抜鮮魚のお造り盛り」(2800円)が一番人気。夜だけで1日80食が出る。「養殖魚の価値を高めたいから安売りはしない」方針で価格を設定。夜の客単価は4000円に達する。

大阪・梅田の新名所「グランフロント大阪」の開業から半年。80近い飲食店がある中で「近畿大学水産研究所」は開業当初からトップクラスの人気を誇る。今も昼の開店前には80~100人、夜も約60人の行列ができる。このため、時間に余裕のある主婦や年配のお客が多く、夕方以降は会社員が増え始める。

その名の通り、近畿大学水産研究所で育てたクロマグロやシマアジなどの養殖魚のみを使った海鮮料理を中心に提供する。店名を通じ、日本初の大学直営による「養殖魚専門店」の特別感をうまく伝えて集客を実現。実際に料理を食べたお客の口コミで人気が定着した。月商は当初目標の倍となる約3000万円に達し、坪月商は45万円に上る。

近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所(鮮魚料理店、大阪・梅田)

刺身の横には近大で養殖したことを証明する「卒業証書」が付く

一番の売りは、近大が世界で初めて「卵→稚魚→成魚→卵」の完全養殖に成功したクロマグロの「近大マグロ」。天然物に近い歯応えと脂の乗りのバランスを重視して育てるが、運動量の多い天然物に比べ、柔らかく甘みがある。

「日本では養殖魚は天然魚より劣ると見なされているため、養殖魚専門店は挑戦だった」(近大ベンチャービジネス推進事業本部の石原克人氏)。ところが開店してみると、柔らかく脂の乗った食材を好む最近の消費者のニーズに養殖魚がうまく適合し、人気が沸騰。研究用に残すため、マグロの店への供給を制限するほどに。現在はマグロにマダイなどを盛り合わせた「本マグロと選抜鮮魚のお造り盛り」(写真)が一押し。マグロに引かれて来店し、このメニューで養殖のマダイやシマアジを再評価するお客も多い。

この人気を受け、東京・銀座での2号店も計画中だ。

商品力に自信のある「養殖魚」で夜の客単価は4000円

近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所(鮮魚料理店、大阪・梅田)

養殖魚のマイナスイメージを変えるため、養殖に用いる餌などの安全性について情報公開を徹底する。iPadを店頭に3台、店内に10台設置し、その日に出す魚に与えた餌や薬の種類などを細かく確認できる。店頭のiPadは営業時間外でも操作できる

近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所(鮮魚料理店、大阪・梅田)

「すさみ豚肩ロースのステーキ~近大ポン酢添え~」(980円)。水産研究所の本部がある和歌山の食材や地酒がそろう

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店舗データ

大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪ナレッジキャピタル6F TEL:06-6485-7103●開業/4月26日●店舗面積/66坪(218m2)●席数/93席●営業時間/11:00~15:00(L.O.14:00)、17:00~23:00(L.O.22:00)、不定休●客単価/昼1900円、夜4000円●1日の平均来店客数/360人●月商/約3000万円●経営/アーマリン近大

(文、写真=羽野羊子)