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Tech-レストラン

液体の表面を固める調理技法

食べてびっくり! 粒の中から液体が イクラ状の粒を大量に作るキットも登場

2009年7月16日

スープやジュースなどの液体を、イクラのような粒状の“食べ物”にする手法が話題となっている。外見と食感の面白さ、経験したことのない珍しさから、新メニューや話題作りに活用できそうだ。

トマトジュースが“イクラ状”に

作るのは意外と簡単。アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムという2つの物質を使う。まず、イクラ状に加工したいジュースなどの材料にアルギン酸ナトリウムを1%程度溶かし、30分程度置いておく。塩化カルシウムは水に溶かし、1%程度の水溶液にしておく。そして、注射器やスポイトなどでアルギン酸ナトリウムを溶かした液体を吸い上げ、塩化カルシウム水溶液に滴下すると、イクラのような粒状に固まる。

これは、滴下した液体表面にアルギン酸カルシウムという水に溶けない物質の薄い膜を生じるためだ。

粒状にするほか、アルギン酸ナトリウムを溶かした液体をスプーンなどにすくって、塩化カルシウム溶液に静かに流し込めば、線状にしたり、大粒の固まりを作ることもできる。

膜の内側は固まらず、液体のままなので、口に含むとプチプチと割れて液体が出てきて、スープやジュースの味が広がる。数種類のジュースで作った粒をデザートに使ったり、スープの粒を料理にあしらったりといった使い方ができる。2月に東京国際フォーラムで開催された「世界料理サミット2009」では、斬新なスタイルの料理で知られる「エル・ブリ」(スペイン)のシェフ、フェラン・アドリア氏がこの技法を使った料理を披露して注目を集めた。

イクラ状の粒を大量に作るには、注射器やスポイトでは能率が上がらない。そこで、これを一度に大量に作る器具も作られている(写真)。

なお、アルギン酸ナトリウムは真昆布などから抽出した食物繊維の一種。塩化カルシウムは豆腐用凝固剤などに使われており、共に食品添加物として指定を受けている物質だ。

文=齋藤 訓之