絶品チーズバーガー、大ヒットの秘密

ロッテリア執行役員、湯浅智之氏に聞く

2008年3月26日

――昨年11月に首都圏で先行発売された「絶品チーズバーガー」(360円)が売れています。

「ファストフードは通常、商品のライフサイクルがとても短いのに、絶品チーズバーガーは4カ月経っても売れ行きは全く落ちる気配がありません。360円という価格がちょっと高いかなと思ったのですが、当初予想した10倍売れています」。

絶品チーズバーガー

――そこまで売れたのはなぜだと思いますか。

「まず商品にとことんこだわった点が挙げられます。それまでは『ロッテリアに○○バーガーを食べに行きたい』という商品がなかった。だから、そういう商品を作りたかったんです。今のハンバーガー業界は足し算の理屈で動いています。パティ(肉)を何枚も重ねて、具材もたくさん入れてという方向です。しかし、絶品チーズバーガーは引き算の発想で、ケチャップもトマトもレタスも入れず、バンズ(パン)、パティ、チーズの3種類のみというシンプルなバーガーになりました。逆に言うと、シンプルだからこそ、一つひとつの素材によりお金をかけ、とことんおいしいものを作ろうというコンセプトができたのです。

パンには一等粉や酒種を使用し、チーズにはファストフード業界では初めてというナチュラルチーズを使用しました。パティは豪州産牛の内もも肉と肩肉、国産・カナダ産豚の背脂を使用し、重量も通常45gのとろ、80gにしています。味付けは素材の良さを生かすため最小限にとどめました」。

――360円という価格はどうやって決まったのですか?

「最初はとにかく、価格は度外視してとことんおいしいものを作ろうというところから始まりました。価格から考えてしまうと、絶対においしいものはできませんから。しかし、そうはいってもロッテリアはナイフとフォークで1000円のハンバーガーを食べてもらうレストランではありません。やはりファストフードなんです。

ではいくらにしたらいいのか。モスバーガーの「匠味チーズ」のように610円だったら売れたのかといえば、絶対に売れない。400円台だったらいいのか。これも怪しい。最後は社内で徹底的に議論して、ファストフードでハンバーガーを食べる価格として360円がギリギリの価格だろうということで決まりました。ただ、360円が本当に正しかったのかどうかは正直分かりません。最後はお客さんが決めることだと思っています」。

――従業員もやる気が出ているのではないですか。

「そこが最も重要だと考えていました。ロッテリアはマクドナルドと違って潤沢な資金はありません。当然CMにお金をかけることはできない。じゃあどうするか。それには、『この商品なら売れる、絶対に売りたい』という商品を作って、お店の人を元気にしなくてはならない。それが絶品チーズバーガーだったのです。

ロッテリアには約1万人の人が働いています。その人たちがきのうより2倍元気になったら、会社も2倍元気なります。全員で絶品チーズバーガーを売ろうぜ! という雰囲気ができてきたと思います」

――マクドナルドとは一線を画し、今後も高付加価値商品を出していくのですか。

「そう決めつけているわけではありません。実は絶品チーズバーガーを発売する少し前に、100円メニューを全国展開しました。ファストフードに来るお客さんの中には、やはり安さを求めている方も多いからです。ロッテリアとしてはリーズナブルな商品を求めているお客さんに合ったメニューもちゃんと作りますし、一方で、価格よりも味を求めているお客さんにも価値のある商品を提供していくつもりです」。

ロッテリアの湯浅智之執行役員

――原材料費の高騰など、外食産業にとっては逆風が吹いていますが?

「確かに環境は苦しいですが、私たちは環境のせいにする会社にだけは絶対になりたくありません。実際、都内48店で先行販売し、1月24日からは千葉県の27店でも販売しています。さらに3月14日からは九州・沖縄59店でも販売が始まりました。1日200個の限定販売ではありますが、4月4日をメドに、全国で販売します。3月14日から社員全員で、北は北海道から南は九州・沖縄まで行脚しています。今年前半はこの絶品チーズバーガーにすべてをかけるつもりで頑張ります」。

湯浅智之(ゆあさともゆき)
ロッテリア商品本部・管理本部執行役員

1976年東京生まれ。2000年東京大学工学部建築学科卒業後、アクセンチュアに入社。戦略グループに配属。主に製造流通業を中心に、経営抜本的改革、マーケティングプロセス、全社コスト削減、M&A(企業の合併・買収)、新規事業などを現場で経験。2005年10月、リヴァンプの立ち上がりと共に転職。現在ロッテリアにて商品本部及び管理本部の執行役員として従事。

聞き手・文=末永 稔

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