ワタミ渡邉美樹社長が飲食業者に警鐘「目先の利益ばかりを追っては食の安全が保てない!」(前編)

2008年10月30日

――食の安全・安心が揺らぐ事件が多発しています。飲食業に従事する経営者として、率直にどう思われますか。

「仕入れというのは安さ、美味しさ、安全・安心の総合点で考えないといけない」と話す渡邉美樹社長

「食の安全について、24年前のことを今でも鮮明に思い出します。私が店長をしていた時のことです。人気商品のレモンサワーは、レモン半分もしくは1個を、お客様自身に搾っていただいていました。するとお客様は、搾った後のレモンをサワーの中に入れてしまうんです。当時はレモンに付着する農薬を気にするお客様はあまりいませんでしたが、これはまずいと。それで、私は毎日オープン前に、レモンを洗う作業を繰り返していました。ただ、いくらピカピカに磨いても暗澹たる気持ちは晴れませんでした。

食の安全・安心について思うのは、飲食業に従事する方は、その商品を自分の親や子供に食べてもらいたいかどうか、それを考えてほしい。常にそのことを問いかけていれば、自ずと安全で安心なものを追求すると思うし、仕入れに関しても慎重になると思います。  ワタミは食の安全・安心を追求してきた結果、有機野菜・無農薬野菜を低価格で仕入れたいと考え、最終的に日本国内では安定的に仕入れることができないという結論に至り、自ら有機農業に打って出たのです」

――食の安全よりも利益重視の姿勢が、不祥事につながっているのでしょうか。

「一概にそうとばかりも言えないと思いますが、やはり中国製品については、経営者は厳しい基準を持つべきです。ワタミでは中国側が『製品に問題なし』と太鼓判を押しても、すべて信用するわけではありません。中国でOKでも、日本国内で問題なしと証明されなければ、販売はしないという厳しい基準を持っています」

――ワタミでは中国産の食材を使っているのですか。

「中国産の食材については、どんどん減らしていきました。安全と安心感、美味しさ、価格などのバランスを考えて食材を選んでいった時に、ワタミでは中国での加工済み食品がどんどんなくなっていったんです。今年初めに中国産の冷凍餃子問題が起きた時、ワタミでは宴会用の小籠包が中国での冷凍の調理済み加工食品でした。しかし、代替品もあったため、すぐに中止することができたのです。

つまり、仕入れというのは安さ、美味しさ、安全・安心の総合点で考えないといけない。いくら安くても安全性に疑問があれば、総合点は低くなり、中国の冷凍調理済み加工食品はワタミの中では淘汰されていった。中国のみならず、海外の加工品に対して、我々は積極的ではなかったと言えます。生産者の顔も見えませんしね。

そういうこともあり、集中仕込みセンターであるワタミ手づくり厨房や、自社農場としてワタミファームなど独自のマーチャンダイジング(MD)を強化していったのです」

群馬県にあるワタミファーム倉渕農場にて。食の安全・安心を追求した結果、自ら有機野菜を手がけることになった

後編)に続く

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