ワタミ渡邉美樹社長が飲食業者に警鐘「目先の利益ばかりを追っては食の安全が保てない!」(後編)

2008年10月30日

――そうはいっても利益面を考えると、安い中国の加工食品を使うという選択肢を簡単には捨てきれないのでは?

「経営には目先の利益と長い目で見た利益があります。目先の利益だけを追うのであれば、中国産をたくさん使うという選択肢はあったかもしれません。しかし、長期的視点で考えれば、ワタミでは輸入品よりも国産にこだわり、そしてたどりついた答えは自社農場の運営でした。

我々は農業に参入して以来ずっと大赤字を出してきました。恐らくワタミの有機野菜のサラダは、相当高かったと思います。目先の利益だけを考えれば、こんなバカなことはしません。さらに言えば、ワタミが有機野菜を使っているということに対して、お客様がどれくらい評価してくれているかも分かりませんでした。

しかし我々は、今後続くであろうお客様との長い付き合いにおいて、有機野菜を使うことが良いことだと信じているから(赤字を出しても)やってきたのです。その結果として、この上半期に農業部門がやっと黒字化しました。短期的な、近視眼的な経営をしてこなかったことが、初めて黒字になった最大の理由だと思っています」

――そこまで考えて経営している会社は少ないのでは?

「経営というのはそこまで考えなければいけないと思います。今振り返っても、我々の経営は正しかったと思いますが、逆に言えばこういうやり方しかできなかった。(有機農業に参入して)将来儲かるだろうとか、そんな計算をしていたわけではないですから。とにかく自分たちがやりたいことをやりたい、と思ってやってきただけです。

ワタミでは、お客様が安心してご利用いただけるように、食材に関する法律およびその精神に則り、原材料の安全性を確認して、確実な品質管理の下で製造・生産された食材のみを使用しています。そして、国内・海外にかかわらず、ワタミの理念に共鳴できるサプライヤー(工場)を最優先しています」

――今回の一連の不祥事で、ワタミに影響はありませんか?

「我々には影響はありません。ただ、お客様の立場に立てば、食に対する不安が増大したことは間違いない。これは飲食業に携わる多くの志の低い人たちの責任でもあります。大切なのは、目先の利益にとらわれず、安全・安心を人任せにせず、自分たちでしっかりと確認し追求していくことです。このことは飲食業の基本として、全レストランに強く言いたい。一人ひとりの意識を高めていかなければ、食の安全を守ることはできません」

 

聞き手・文=末永 稔、インタビュー写真=鈴木愛子

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