
障害者の雇用促進を目指すレストランがオープン
東京・中野の「キッチンそら」
この6月、障害者の就労モデルとなることを目指したレストランがオープンした。NPO法人障害者の就労を進める会そら代表の中川弥生子さんが東京・中野に開業したコミュニティレストラン「キッチンそら」だ。
ここで言うコミュニティレストランとは、障害を持っている人やその家族が気兼ねなく行くことができるレストラン、そして、その従業員も障害を持っているレストランだ。もちろん、一般に開かれたレストランであり、一般の家族や学生、サラリーマンも利用できる。
「キッチンそら」が雇用の対象としているのは精神障害者だ。民間企業に雇用されている障害者は約33万3000人いるが(2009年)、そのうち精神障害者は約8000人と少ないという。中川さんは、障害者が就労に向けて準備をする場である作業所で精神障害者と接する中で、多くの人が、雇用者側の接し方や労働時間の設定次第ではかなりの仕事ができるにもかかわらず、なかなか一般就労に結びつかない現実を目の当たりにし、問題意識を持った。
「8時間などの長時間労働はハードルが高いけれど、1日2時間だけとか、この作業だけなど短時間や限られた内容であれば問題なくできる方が多い。レストランであれば、そうした勤務が可能だと思ったんです。また、作業所で一生懸命働いても、工賃としてもらえるのは月にせいぜい5000円程度。それでは働く意欲も生きる意欲も失せてしまう。そこで、労働時間に応じて時給で支払う場を作りたいと思うようになりました」(中川さん)。
一念発起した中川さんは、ビジネスを通して社会的課題の解決を図る社会起業家を育成するビジネススクール、社会起業大学で学び、「キッチンそら」のオープンに至った。店舗面積は8坪で席数は13席の小さな店だ。オープンに当たってハローワークを通じて3名を採用。厨房の作業は従業員に任せ、中川さん自身がホールに立つ。
フードメニューは、食育アドバイザーや栄養士と共に開発した玄米、雑穀米、豆腐、海藻、野菜、味噌汁、漬物を中心としたもので、玄米と味噌汁に小皿が6種付いた週替わりのプレート(800円)の1種類のみ。営業時間はランチが11時半~14時、ティータイムが14時~18時で、18時以降はレンタルスペースとして地域の人々に活用してもらうつもりだ。
「障害者の方たちにここから巣立ってもらいたい。また、ここ以外にも障害者の雇用につながるレストランがどんどん増えればと思っています」と中川さん。そのモデルになるような店作りに目下、励んでいるところだ。
■キッチンそら:東京都中野区中央5-48-5 電話03-5340-7803

「キッチンそら」

中川さん
(日経レストラン編集部)
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