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「ケチ」な店にお客は来ない

書籍『儲かる料理経営学』

2014年8月11日

お客の入りが悪くて売り上げがなかなか上がらないと、皆さん、いろんな経費を削ることに躍起になったりしますね。人を少なくしたり、販促費を削ったり、食材の質を落としたりする店が後を絶たない。中には、野菜のくずや魚のアラなどを引き取ってもらう「産廃処理費」すら負担が重いと言う人がいる。

でもね、1日にゴミが何十kgも出るという店は、一度、調理の仕方を見直したほうが良いと思います。私のところでは昔から、こうしたゴミはほとんど出ないし、出していない。調理場の若い者が、例えば大根の皮やヘタなんかを捨てようとしたら、すぐに一喝ですよ。うちではくずを捨てることを厳しく禁じていますからね。

野菜にしろ魚にしろ肉にしろ、元はみんな生き物です。料理というのは、命ある食材を使って、ヒトの命に欠かせない食べ物を作る仕事です。だからこそ、食材は一片たりともムダにしたらいけないのです。

野菜の切れ端でも、煮込めば実にうまいダシが取れます。ビタミンCやカリウムなどの栄養分が結構豊富に入ってますからね。吸い物なんかには丁度いい。魚の身の残りなんかもいろいろと使い道があります。鯛であれば身の残りを細かくきざんで、タレをまぶして田麩のようにする。これを蒸し寿司なんかに混ぜ込んだら、とてもおいしく、少し変わった鯛寿司になる。

ほかの店だったらゴミとして捨てられる「余りもの」なわけですから原価はゼロ。それに一手間、二手間、せいぜい5~10 分くらい手をかけるだけで、立派な食材になる。これを「始末」というんです。「ケチ」とは全く別ものです。

ケチというのはね、必要なところにもカネを使わないこと。始末というのは締めるべきところは締めつつも、使うべきところには使うことです。食材について言うなら、最高の品質の魚を仕入れて、その身はもちろん骨や皮の切れ端まで余すことなく使うこと。

昔、京都ではおひつに残ったご飯の残りを乾燥させ、しょう油をかけてよく食べていました。そんな土地に育ったから始末の大事さは骨身に染みて分かっています。

今は皆さん、ケチばっかり。始末の仕方は、まるで分かってない人が多い。ケチを重ねて低価格路線を続けても、やがてはお客に飽きられるだけです。そろそろ始末の大切さに気付いてほしいものです。

書籍『儲かる料理経営学』

書籍『儲かる料理経営学』

村田吉弘著、価格:本体1500円+税

京都・祇園の老舗料亭「菊乃井」主人として、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録の仕掛け人として、日本料理界を牽引する村田吉弘氏が飲食店経営を語り明かしました。