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第3回和食ワールドチャレンジ開催

日本料理の高みに目指すチャレンジャー10人の横顔 Vol.2

2015年12月10日

農林水産省が主催し、世界各国・地域で日本料理に取り組む外国人料理人がその技術を競う日本料理のコンペティション「和食ワールドチャレンジ」の決勝審査会が11月23日に開催された。Vol.1に引き続き、今回は南アフリカ、台湾、シンガポールの日本料理店で研鑽を積む3人の料理人を紹介する。惜しくも受賞を逃したが、いつもの厨房とは異なる環境の中で、見事な腕前を披露した。

チャレンジ精神旺盛な寿司シェフ
大好きな“うどん”で勝負を挑む

ウスマン・カーンさん(南アフリカ在住、31歳)

ウスマン・カーンさん(南アフリカ在住、31歳)
ウスマン・カーンさん(南アフリカ在住、31歳)

パキスタン出身のウスマン・カーンさんは前回大会に続いて見事最終選考まで駒を進めた。

南アフリカ・シェフ・アカデミーでフランス料理を学んだカーンさんが、和食料理人を生業とするようになったのは、寿司の見習いシェフの勉強をしてみないかと誘われたのがきっかけ。

母国パキスタンには魚を生で食べる文化がないため、「生の魚なんて一体誰が食べるんだろう」と考えていたカーンさんだが、ちょうど何か新しいことに挑戦してみたいと思っていたこともあり、この誘いを了承。幾つかの寿司レストランや日本食レストランを経て、2012年からは南アフリカのケープタウンにある日本料理レストラン「ノブ・ケープタウン」で働いている。

修行当初を振り返り、「最初は魚をさばくのにも苦労して、手や腕を切ってしまうことも多かった」と苦笑いするカーンさん。出汁を作ること自体はそれほど難しくなかったが、スパイシーなパキスタン料理に慣れていた自分の舌と味覚を、シンプルで繊細な和食の味付けの感覚に慣らし、和食の味を自分で理解するのにずいぶん苦労したという。

その修業の成果を活かすべく、今回のコンテストに出品したのは刺身を使った「炙り刺身うどん」。

出汁にもこだわり、カツオと昆布の合わせ出汁にシイタケ出汁をブレンドさせた。うどんをチョイスしたのは、自身が「来日するたびに日本のうどんを食べるのを楽しみにしているほどのうどん好き」だからと茶目っ気たっぷりに教えてくれた。今回も、帰国するまでに必ずうどんを食べるつもりだという。

アフリカでもパキスタンでも、本格的な日本料理を食べられる機会はまだまだ少ない。「将来は南アフリカで和食関連のレストランを開き、和食の知識を広める役割を担っていきたい」と夢を語るカーンさんの瞳には力強い光があった。

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