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シェフ1人で料理してもてなすフレンチスタイルの可能性

書籍『お客に愛される料理人の秘密 冒険するレストランだけが生き残る』

2015年5月1日

フランス料理といえば、恭しいサービスが不可欠……と思われるが、それも時代とともに変化している。

東京・代々木上原で20席弱の「プティ バトー」を7年、3人で切り盛りしてきた笹川幸治オーナーシェフは2010年2月、店を渋谷に移転した。カウンター8席にして、料理もサービスも1人でやるという。

「僕も不安でしたが、やってみたら逆にお客様から『このスタイルがいい』と毎晩、満席になるほど」(笹川シェフ)。

今まで厨房の中で料理を作ることに没頭してきたシェフが、お客の前に出る。料理人にとってお客の反応が励みになり、お客にとっては気楽に話ができて楽しめる。

お店と客の距離を縮めることがお互いの関係性を高めるのは、昔の「スナック」の気楽さと同じ。ただし、笹川シェフの料理はこれまで通りのレストラン料理。素材も手間も惜しまないが、メーンで2000円台前半と安い。

スタッフを抱える精神的、経営的な負担に悩む40代の料理人は多いが、今後“1人フレンチ”の可能性は大いに広がるのではないだろうか。

ビストロ=低価格、レストラン=高級という既成概念を越えて、低価格でも高級感ある料理を提供するスタイルが生まれている。ただし“なんちゃって”料理では消費者は納得しない。成熟した市場だからこそ、料理人にとってはまだまだ生き残りの方法はあるのだ。

(日経レストラン2010年4月号掲載)

「豚タンの赤ワイン煮」(2200円)。気前よく厚く切ることで、ワインでゆっくり時間を過ごせる

「豚タンの赤ワイン煮」(2200円)。気前よく厚く切ることで、ワインでゆっくり時間を過ごせる

現在の「プティ バトー」

渋谷と代々木上原をつなぐこのエリアは、笹川氏が移転してきた2010年当時、周辺には飲食店は数えるほど。地元の商店街がまばらに続くだけだった。ところが、いつの間にかワインバーがポツポツと増え、今ではエリアとして注目されるようになった。ただ、笹川氏は「気がついたら周りに店がたくさんできていました。でも、うちの店には影響はなかったですね」。ほとんどが常連客、あるいは常連客からの紹介で来る人で席が埋まるからだ。「40歳でこの店に変わって、今45歳です。次は50歳に向けて、何らかの違う形を考えています」。笹川氏の次のプランは?

プティ バトー●東京都渋谷区神山町4-20 TEL:03-3485-9928 ●営業時間/月~土18:00~24:00L.O.、日祝16:00~22:00L.O.、水休

書籍『お客に愛される料理人の秘密 冒険するレストランだけが生き残る』

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