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野菜を巡るホントウの話

完熟させれば栄養価は数倍に(後編)

2009年7月14日

野菜に含まれる糖分や栄養分の量は旬の時期の野菜かどうか、あるいはハウス栽培か露地栽培かなどによって変わるが、それだけでなく、「どんなタイミングで収穫するか」によっても変わる。

赤ピーマンのビタミンも
青ピーマンの3~4倍

赤ピーマンの方が栄養豊富なのに、日本では青が主流

ピーマンにも同じような「生産者側の論理」が働いている。ピーマンは抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eが豊富で、加熱してもこれらの物質が失われにくいという特徴があるが、実は私たちが普段よく目にする青ピーマンより、それを完熟させた赤ピーマンの方がかなり栄養価が高い。赤ピーマンはビタミンA、C、Eが青ピーマンの3~4倍あり、100g当たりのビタミンCもレモンの2倍。その上、糖度が高く、子どもが嫌う臭いも薄い。

それなのに、なぜ青ピーマンが主流になっているかというと、おそらく青いうちに収穫する方が収穫量が多くなるためだと思われる。樹上で完熟させると、樹はエネルギーを大量に消費し、これから実になる花を沢山落としてしまう。するとトータルの収穫量は当然減る。そうしたことを避けるために青いうちに収穫しているのだろう。また、シシトウや万願寺トウガラシなど、ピーマンと同じトウガラシ属の野菜が伝統的に青いまま収穫されてきたことも影響しているようだ。

トマト、ピーマンに限らず、本来、ほとんどの農産物は、完熟した時に糖度や栄養価がピークになる。しかし、生産者や流通側の都合から早目に収穫されてしまっているケースは少なくない。様々な野菜の機能性成分が注目されている中、また、ピーマン嫌いを筆頭に野菜嫌いの子どもが増えている中、本当の美味しさ・栄養価を考えるなら、「生産側・流通側の論理」から脱却することも必要ではないだろうか。

中村 敏樹氏

農業コンサルティング会社社長。国内外の生産技術に通じ、農家の指導や外食向けの食材コンサルティングを行う。日本ベジタブル&フルーツマイスター協会講師