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野菜を巡るホントウの話

見た目の綺麗さと味は一致しない

果物の「糖度」の見極め方

2009年7月21日

果物の美味しさの決め手となるのは「糖度」。つまり、100g中に含まれるブドウ糖、果糖などの割合だ。では、果物の外観から十分に甘いかどうかを見極めるには、どこに注目すればいいだろうか。

リンゴは尻の部分
ブドウは皮の色に注目

尻の部分が緑のものより黄色い方が甘い

リンゴの場合、皮が赤いほど熟して甘いと思う人もいるかもしれないが、赤さの度合いは必ずしも甘さと一致しない。確かに、赤く色付くには、成熟が進み、糖が一定レベル生成されることなどが条件となるが、早出しの産地では、青いうちに収穫して“日光浴”させ、赤く色付かせることもあるからだ。色で見極めるなら、尻の部分に注目。尻が緑色のものより黄色い方が熟度が進み、甘い。

皮の表面のワックス成分も判断基準になる。リンゴは完熟すると、皮の表面に白い粉やワックス成分が出てくる。消費者からは、「ワックスを塗っているのでは」「農薬では」といった疑問が来るが、これは完熟時に出るノナコサンという天然のロウ物質。リノール酸やオレイン酸に近く、健康上まったく問題はない。

サイズは、小ぶりがお薦めだ。糖度の高さは水分量、つまり雨の量と大きく関係する。大きなリンゴは市場では評価されるが、水分量が多いため、実は甘くないことが多いのだ。その点、今年は梅雨以降の雨が少なかったので、リンゴは全体的に小玉傾向。味に期待が持てそうだ。

一方、ブドウはお中元やお歳暮の贈答期に照準を合わせ、完熟しないうちに無理に出荷することも多く、産地や農家によって糖度にかなりの差が見られる。

黒系のブドウは果皮の色が濃いほど糖度が高い

甘さを見極めるには、巨峰やピオーネなど黒系のブドウの場合、色の濃さに注目するとよい。糖度の高いものは色が黒く、低いものは赤みを帯びている。一方、マスカットなど青系のブドウは、黄みを帯び、かつ香りが強いほど完熟しており、糖度が高い。黄みを帯びると過熟に見えるため、翡翠色のやや若い段階で出荷されがちだが、見た目に惑わされてはいけない。またブドウも、完熟すると皮の表面に白いワックス成分が出るが、これも品質を見極める重要な要素だ。

年末のイチゴは
最も高価で最もまずい

クリスマス時期に出回るイチゴは少し赤くなったものを11月下旬頃から収穫し、0℃で貯蔵した後、クリスマス直前に外に出して色付かせたもの。色は綺麗だが、甘さは少ない。

以上は外観で判断しやすい果物を中心に紹介したが、見た目で甘さを判断しにくいものもある。例えば桃は、小さいうちに果実1つひとつに袋をかけ、収穫直前に袋を取って色付かせるため、皆一様に薄い桃色だ。こうした果物は芳香の有無で味を判断したい。

中村 敏樹氏

農業コンサルティング会社社長。国内外の生産技術に通じ、農家の指導や外食向けの食材コンサルティングを行う。日本ベジタブル&フルーツマイスター協会講師