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野菜を巡るホントウの話

秋野菜の美味しさの見極め方

人参は「切り口」ネギは「色」に注目

2009年9月1日

里芋

表面が湿っている方が傷みにくい

関東を中心に多く栽培されている「土垂(どだれ)」、関西地域に多い「石川早生(いしかわわせ)」、高級なサトイモとされる赤い芽が特徴の「セレベス」、京の伝統野菜「エビ芋」、長さが60cmにもなる「タケノコ芋」などがある。土垂や石川早生は粘質で軟らかく、エビ芋やタケノコ芋は粉質など、品種ごとに特徴があるので、料理法により使い分けたい。

里芋は、親芋と呼ばれる種芋に子芋が付き、子芋に孫芋が付いて増える。一般に里芋として売られている土垂や石川早生は子芋や孫芋を食す子芋専用種だが、セレベスは親芋も美味しく食べられる。子供の頭ほどもある大きさで1個100円~150円程度とかなりお得だ。

里芋の美味しさの印は、表面の縞模様の幅が均一なこと。縞が詰まった部分は水が不足した時に伸びた部分で、硬い。また、表面の土を落とすと、乾いて傷みやすくなる。熱帯地方原産のため、冷蔵庫には絶対に入れないこと。

人参

葉の切り口が細い方が、芯も細くて美味しい

7月下旬から8月中旬に種を蒔いた秋人参は、春人参のみずみずしさに比べ、身が締まり、味が濃い。最近は、甘さを強調した「ひとみ五寸」や「ちはま五寸」、β-カロテンが豊富な「ベータリッチ」など多くの品種が出回る。品種により生食用、加熱用など適した調理法があるので、発注の際は品種を確かめたい。

人参の中心部分(木質部)は硬くて味が染みにくく、栄養価が少ないが、木質部の周囲の色の濃い部分にはβ-カロテンや食味の良い成分が多く含まれる。従って、色の濃い部分が多いほど品質が良いといえる。それを見極めるには、葉の切り口に注目。切り口が太いほど木質部が大きいので、そうした人参は避けよう。

人参は土を洗い落としているものの方が土壌菌が少なく、いたみにくい。また、葉が付いたままだと、そこから水分が蒸散するので、葉を落としたものを選ぶとよい。

ネギ

白い部分を食べるので、それが多いほど良い

白ネギは、土を根元にかけることで光合成を抑え、軟白化させたもの。葉の部分が濃い緑色で、白い部分との差がはっきりしたものを選ぼう。可食部である白い部分が長く、ハリと艶があるものが良い。黄ばんだり、乾燥したものは避ける。

カット・ネギを使う店も多いが、時間が経つと、アリインやアリシンなどの機能性成分や香りが失われるので、調理直前に切るのがベスト。アリインは刺激臭のアリシンになる前の物質で、旨み成分であるイノシン酸やグルタミン酸に作用してより複雑な味やコクを生む。白ネギを大きく切ることが多いのは、アリインをアリシンに変えさせないためだ。

保存する際は新聞紙などで包み、直射日光の当たらない涼しい場所で立てる。泥付きであればかなり長期間保存できる。

中村 敏樹氏

農業コンサルティング会社社長。国内外の生産技術に通じ、農家の指導や外食向けの食材コンサルティングを行う。日本ベジタブル&フルーツマイスター協会講師