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野菜を巡るホントウの話

自給率低いのになぜ産地廃棄?(前編)

2009年10月6日

2006年のように台風などの災害がほとんどなく農作物の生育が順調だと、野菜は供給過剰になり、生産地では廃棄処分になることがよくある。そのたびに聞かれるのが「日本は自給率が低いのになぜ野菜を廃棄するのか」といった声だ。

日本の食料自給率は40%(カロリーベース)と非常に低い水準にあり、国内生産で9割以上(重量ベース)をまかなっているのは米や鶏卵ぐらい。野菜は比較的自給率が高いとはいえ8割程度。小麦や大豆、トウモロコシは大半が輸入物だ。

なぜ自給率が低いかというと、一つにはこの数十年で米中心の生活からパン食に変化し、畜産物や油脂の消費が拡大したことがある。これにより油脂の原料である大豆や家畜のエサであるトウモロコシの需要が増えた。これらはアメリカなどの広大な土地で機械化を進めて栽培した方が生産コストが抑えられるため、輸入に頼るようになったのだ。

一方、日本では、狭い面積で手間をかけ、付加価値の高い野菜や果物を栽培する労働集約型の農業が発達したが、賃金の高騰により手間をかけた農業経営は難しくなっている。安定した農業経営が困難で農業離れが進んでいることも、自給率が上がらない大きな要因だ。

しかし、食料の多くを外国に依存していると、輸出国で農作物が不作だったり、その国との関係が悪化すると大変な事態に陥りかねない。当然、国内自給率を上げる必要があるが、一方では野菜が廃棄される。それを疑問に思う人が多いのだ。

中村 敏樹氏

農業コンサルティング会社社長。国内外の生産技術に通じ、農家の指導や外食向けの食材コンサルティングを行う。日本ベジタブル&フルーツマイスター協会講師

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