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野菜を巡るホントウの話

「味」と「大きさ」の微妙な関係(前編)

2010年1月12日

農産物は、大きなものから小さなものまでサイズにバラツキがある。しかし、市場に出荷される農産物は、出荷前に大きさや外観で規格の選別をされる。この作業は、農家側に大変な労力や経費がかかる。また、規格外で出荷できないものが生じることは、農家の収益を下げる要因ともなっている。それでも農家が選別を行うのは、それなしでは市場で扱ってもらえないからだ。

市場には毎日全国から大量の農産物が集まってくる。それを短時間で処理するには、規格の情報があった方が流通業者にとって効率的。そのために、農家はコストをかけ、出荷比率を下げてまで選別を行っているわけだ。

むろん、規格と農産物の本当の品質が合致していれば問題はない。しかし、かなりの部分でズレがあるのが実情だ。

例えば果物は大きさによって3L、2L、L、M、S、2S、外観によって秀品、優品、良品、無印に分けられる。ミカンの場合、「秀品のLかM」あたりが一番の高値になることが多いが、実際に糖度や食味を見ると、「優品のSや2S」といった小玉の方が品質が高いことがある。

ミカン、ジャガイモは
売れ筋の大玉より小玉が旨い

「 大きさ」と「味」の関係

ミカンは樹になっている数で味が決まる。数多くなっていると1個1個に行きわたる肥料や水分が過剰にならず、糖度が高くなる。また、樹の外側になったものは、風に当たるため内側のものより傷が多いが、光にも多く当たるため糖度が増す。しかし、大玉で無傷の方が見栄えがするため市場価値が高く、味と価格にズレが生じるのだ。

(後編はこちら

中村 敏樹

農業コンサルティング会社社長。国内外の生産技術に通じ、農家の指導や外食向けの食材コンサルティングを行う。日本ベジタブル&フルーツマイスター協会講師