「レストランひらまつ」の総料理長であり、6ブランド27店を展開する株式会社ひらまつのCEOでもある平松宏之氏。フランス料理で訪れる人に幸せを与える一料理人である平松氏に、レストランウエディングの真髄である「料理」に対する想いを伺いました。
お客様の要望に創意工夫をもって100%応える
ウエディングでも、通常のレストラン営業とまったく変わらない、いつも通りのスタイルでお客様をお迎えするのが「ひらまつ」流。「ふたりがお招きするゲスト全員から、あらかじめ苦手な食材や体調面で気をつけてほしいことを伺った上で、当日のメニューを組み立てる」といった万全の心配りで、結婚披露宴の料理が常に創り上げられています。
そんなレストランひらまつが、結婚披露宴を手がけるようになったのは、ひらまつが好きで通い続けていたあるカップルからの「初デートやプロポーズの思い出がたくさん詰まったこのレストランで、ふたりの結婚式を挙げたい。私たちがおいしくいただいた料理を、大切なゲストの方々にも召しあがっていただきたいのです」という相談だったそうです。「そんな素敵なお話なら喜んで」と、その場で快諾の意向を伝えた平松氏。ふたりの想いを叶えるために、心を込めておいしい料理をつくることが料理人の使命であり、ふたりの幸せな気持ちとともに、最高の料理をテーブルへ届けられることがレストランウエディングの醍醐味だ、とその時、感じたそうです。「結婚式ではいろいろな方がレストランにお見えになります。本格的なフランス料理を初めて口にされる方もいらっしゃいます。そのような方にもおいしく味わっていただくために、レストランとして何をどう工夫すればよいか。縁あってお越しいただいたお客様の希望にきちんと応え、100%ご満足いただける奥行きの深さを持つことが、グランメゾンに求められる要素だと私は考え至りました」(平松氏)
ありとあらゆる要望に創意工夫をもって応え「今目の前にいる人を幸せにする」ということ。それは料理人として忘れてはならない原点であり、株式会社ひらまつの全社員が共有する理念でもある、と平松氏は語ります。
レストランは人に喜びや幸せを与える場所
平松 宏之
1952年神奈川県生まれ。20歳で料理の道に入り渡仏。1982年に「ひらまつ亭」開業。2001年にパリに出店し、日本人オーナーシェフとして初めてミシュランの星を獲得。2003年、日本の高級レストランで初めて株式上場。「ひらまつ」をはじめ、「ASO」「ボキューズ」など複数のブランドでレストランやカフェを立ち上げ、ひらまつグループの総帥として活躍を続ける。
「若者よ、故郷へ帰り、その街の市場に行き、その街の人のために料理をつくりなさい」「料理人の神様」と称されたフランス料理の名シェフ、フェルナン・ポワン氏の教えを胸に刻み、修業先のフランスより帰国した平松氏。1982年に現在の地・広尾に開業して以来、日本全土にフランス料理とその文化を普及させる取り組みを続けてきました。30代で自分の店を持ち、40代で事業を営み、50代で全国に店を広げる。崇高な志と着実な計画、絶え間ない努力を重ねてその夢を少しずつ現実のものとして叶えられ、今では北海道から九州まで全27店を展開するに至っています。
「レストランの語源は、ラテン語の『restauro』。その〈回復させる〉という意味から転じて、〈元気にさせる場所〉〈滋養となる飲食物〉を意味する『restaurant』の言葉が生まれたそうです。いわばレストランは、人に元気を与える場所であり、生きる喜びを生み出す空間なのですね」と平松氏。レストランを訪れた人々が、食べることを通じて幸せを実感し、そこに集う人々とともに幸福であり続けたいと願ったとき、人の「想い」はひとつになり、「絆」へと変化していくのだと、平松氏は語ります。まさにウエディングの本質にもつながるような逸話です。
「平松さんにとって料理とは?」直接お会いした折にぜひ伺ってみたかったその問いに、「料理は私にとって自分の人生そのもの。おいしい料理をつくる。それ以上でもそれ以下でもありません」との答えが返ってきました。「作曲家が音に、画家が絵に託して自分の思いや考えを伝えるのと同じように、私は料理によって、自身の人生を表現させてもらっています。いつも不思議に思うのですが、料理人が本当に想いを込めてつくった料理には、それを口にした人を優しい気持ちにさせる力が宿るのです。素晴らしい絵、素晴らしいオペラなど、心に染み入る芸術作品を見た時、人は心豊かに心優しくなれるでしょう。料理もそれと同じなのかもしれませんね」
自らが心を込めてつくった料理をきっかけに、より多くの人々にフランス料理の素晴らしさを知ってもらいたい。それが平松氏の創業以来の願いであり、今なお厨房に立ち続けている理由だそうです。「レストランは、シェフ、パティシエ、ソムリエ、ホールスタッフなど関わる者がそれぞれの役割を担ってこそ成り立つ〝総合芸術〞です。店に立つすべてのスタッフが、人としての優しさや、人の幸せの役に立ちたいという熱いハートを持って、最大限の力を発揮することで、はじめておいしい料理や良いサービスが生まれる。その一体感こそが人に感動を与えるし、その感動を知っているからこそ、私も料理人を辞められないんです」
平松氏、そしてひらまつグループのレストランの挑戦は、まだまだ限りなく続くのでしょう。







